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医院で取り組むPHP脆弱性への対応

そのホームページ大丈夫? 医院でやるべきPHP脆弱性への対応

2026年10月21日、PHPの重大な脆弱性について、政府から注意喚起がありました。[1]高市首相も、その日のうちに対応を急ぐよう呼びかけています。[2]

これを受けて、省庁や自治体、企業では、ホームページの緊急メンテナンスや一時停止が相次いでいます。[3]

PHPは、世界中で使われている有名なプログラム言語です。私たちの身近なところでは、次のようなものに使われています。

  • ホームページ
  • 予約・問い合わせのフォーム
  • インターネット上で使うソフトウェア

そのため、今回の影響は、医院にも及ぶ可能性が高いです。

この記事では、PHPの脆弱性で医院に起こりうるトラブルと、対処すべき方法を共有します。

今回のPHPの脆弱性とは

PHPとは

PHPは、ホームページの裏側で動いているプログラムです。ホームページの見た目やデザインが窓口だとすると、PHPは、実際に裏で手続きを進めてくれるスタッフの役割を果たしています。

たとえば、次のような処理をPHPが行っています。

  • 予約フォームに入力された内容を受け取り、医院にメールで届けます。
  • お知らせやブログを追加したときに、ページに反映します。
  • 予約の空き状況など、その時々で変わる情報を表示します。

医院のホームページでよく使用されるWordPressも、実はPHPで動いています。

今回発生したPHPの問題によって懸念されているリスク

2026年10月21日、PHPの開発チームが、重大な脆弱性2件の修正版を公開しました。[4]

  • 外部からサーバーを乗っ取られるおそれがあります
    悪用されると、攻撃者がサーバー上で自由にプログラムを動かせる状態になります。WordPressの構成でも、攻撃の再現が報告されています。
  • 原因は、PHP内部のメモリの管理にあります
    PHPが処理を終えたあとも、メモリ上に古い情報が残ってしまう不具合があります。攻撃者は、細工した通信を続けて送り、この残った情報を悪用します。
  • 初期設定のままでも狙われます
    ファイルのアップロード状況を記録する機能など、初期設定で有効になっている機能が入口になります。そのため、多くのサイトが対象になります。
  • 古いPHPは広く対象です
    PHP 5系・7系と、修正版より前の8系が対象と考えられています。
  • 攻撃は始まりつつあります
    攻撃に使えるとされるコードが、インターネット上に出回り始めています。

未対応により医院で起こりうる具体的なトラブル

ホームページが乗っ取られると、医院の信頼に直結する次のようなことが起きます。

  • ホームページが書き換えられる
    見覚えのない広告が表示されたり、別のサイトへ転送されたりします。患者さんが不審に思い、来院前に離れてしまうおそれがあります。
  • フォームの情報が漏れる
    予約やWeb問診のフォームに入力された氏名・連絡先・症状などが、外部に持ち出されるおそれがあります。
  • 検索結果に警告が出る
    不正なページが作られると、検索結果に警告が表示される可能性があります。その結果、インターネットで検索したときに、ホームページが検索結果に表示されないなどの問題が発生します。

今回の問題は、個々のサイトのセキュリティの問題ではなく、PHPという言語自体にあります。そのため、ホームページの規模に関係なく、PHPを使っている場合は、修正が適用されているかを確認する必要があります。サーバー会社がすでに対応している場合もあるため、まずは管理会社やサーバー会社に確認しましょう。

医院で今回の対応が必要になりやすい対象

医院でPHPが使われている可能性があるのは、主に次の2つです。

  • WordPressで作ったサイト
    医院のホームページ、採用サイト、ブログなどです。WordPressで作っている場合は、PHPの修正が適用されているかを確認しましょう。※WordPressには2種類あります。
    ・WordPress.org:エックスサーバーなどのレンタルサーバーに入れて使うものです。医院のホームページで多く使われており、対象になります。
    ・WordPress.com:サーバーごとセットになったサービスです。WixやSTUDIOと同じく、サーバーをサービス会社が管理しているため、医院側でPHPを更新する必要はありません。
  • サーバーに直接設置したメールフォーム
    ホームページを管理しているサーバーに、予約や問い合わせ、Web問診などのフォームを直接入れている場合です。

PHPは、医院のホームページやWebシステムで一般的に使用されているため、PHPを使用しているかどうかを確認することが重要です。使用している場合は、修正の適用状況に応じた対応が必要になるため、次の章の対応方法をご参照ください。

PHP脆弱性への対応方法

PHP脆弱性への対策で重要なのは、何が対象かを正しく把握し、どのように直すべきかを見極めたうえで、適切に対処することです。適切に対応しないと、ホームページが表示されなくなるなど、かえって新たなトラブルを招くおそれがあります。ここでは、PHP脆弱性の対策として最低限やるべき手順を、順にご紹介します。

STEP 01PHPのバージョンを確認する

まず、自院のホームページやフォームがPHPを使っているかを確認します。確認の方法は、次の3つです。

  1. 管理会社に問い合わせる
  2. URLを見て、自分で確認する
  3. サーバーの管理画面で確認する

1. 管理会社に問い合わせる

ホームページや予約システムを外部に任せている場合は、問い合わせて確認するのが確実です。その際は、次の3点について確認するようにしましょう。

  • PHPを使っているか
  • 使用しているPHPのバージョン
  • 修正版への更新の予定日
問い合わせメールの例2026年10月に公表されたPHPの重大な脆弱性について、以下の点を確認させてください。
・当院のホームページと予約フォームでPHPを使用しているか
・PHPを使用している場合、バージョンは何か
・修正版への更新予定日はいつか
〇月〇日までにご回答をお願いします。

2. URLを見て、自分で確認する

ご自身のパソコンなどから、ホームページのURLを見てPHPを使っているかを確認できます。

※この方法ではPHPのバージョンは確認できません。あくまでPHPを使用しているかどうかを判断する目安としてご利用ください。

URLからの確認方法

ページやフォームを開き、アドレスバーをクリックしてURLを全文表示します。URLの末尾が「.php」になっていれば、PHPを使用しています。
例:https://〇〇.jp/contact.php

ページのソースからの確認方法

Google Chromeの「ページのソースを表示」機能を使うと、ページのコードから確認できます。

  1. Google Chromeで、自院のホームページを開きます。
  2. ページ上で右クリックし、「ページのソースを表示」を選びます。コードが表示された新しいタブが開きます。
  3. Ctrl+F(Macはcommand+F)を押し、画面右上に出る検索欄に「.php」と入力します。
  4. 「.php」が見つかればPHPを使用しています。

注意点

ただし、URLやコードに「.php」がない場合でも、部分的にPHPで動いていることがあります。判断が難しい場合は、ChatGPTやClaudeなどに、次のように確認してもらうこともできます。

指示の例「〇〇(ホームページのURL)のページで、PHPを使用している場所があるかどうか確認してください。」

AIによる確認も参考情報として扱い、最終的には管理画面や管理会社で確認してください。

3. サーバーの管理画面で確認する

エックスサーバーなどのレンタルサーバーでWordPress.orgを使っている場合は、サーバーの管理画面からも確認できます。ここでは、エックスサーバーを例にご紹介します。

  1. サーバーパネルにログインします。
  2. 「PHP Ver.切替」を開きます。
    ⓦWordPressphpPHP♢セキュリティ› WordPress簡単インストール› WordPress簡単移行› WordPressセキュリティ設定› WordPressリカバリー› PHP Ver.切替› php.ini設定› WAF設定2
  3. 「現在のバージョン」の欄で、ドメインごとのPHPのバージョンを確認します。
    PHP Ver.切替ドメイン単位でPHPのバージョンを切り替えることが可能です。対象ドメイン現在のバージョン編集clinic.example.jpPHP 8.x.xx3

参照:エックスサーバーマニュアル「PHP Ver.切替」

STEP 02対応が必要なバージョンか判断する

確認したバージョンをもとに、対応が必要かを判断します。使っているPHPの系列ごとに、次の基準で確認します。[4]

  • PHP 8.5を使っている場合
    8.5.12より前のバージョンは、対応が必要です。
  • PHP 8.4を使っている場合
    8.4.27より前のバージョンは、対応が必要です。
  • PHP 8.3を使っている場合
    8.3.36より前のバージョンは、対応が必要です。
  • PHP 8.2を使っている場合
    8.2.35より前のバージョンは、対応が必要です。
  • PHP 8.1以前を使っている場合
    原則として、サポートされている新しいバージョンへの切り替えを進めます。ただし、提供会社が旧バージョンに修正を適用している場合もあるため、管理会社やサーバー会社に対応状況を確認してください。
このステップのポイント

PHPにも様々なバージョンがあります。各バージョンにおいて、適切なアップデートができているかを確認する必要があります。

STEP 03適切なバージョンへ修正する

PHPの現在のバージョンが確認できたら、管理しているケースに応じて、適切なバージョンへの修正を進めます。

  1. 制作会社に任せている場合
  2. 自院で管理している場合

1. 制作会社に任せている場合

  • 制作会社に連絡し、適切なバージョンへ修正してもらうよう依頼します。
  • 修正が完了したら報告をもらい、確認します。

2. 自院で管理している場合

エックスサーバーなどでWordPress.orgを使っている場合

サーバーの管理画面からPHPのバージョンをアップデートして、更新できます。ここでは、利用者の多いエックスサーバーを例にご紹介します。

  1. サイトのバックアップを取ります。
  2. サーバーパネルにログインし、「PHP Ver.切替」を開きます。
    ⓦWordPressphpPHP♢セキュリティ› WordPress簡単インストール› WordPress簡単移行› WordPressセキュリティ設定› WordPressリカバリー› PHP Ver.切替› php.ini設定› WAF設定2
  3. 変更したいドメインの右側にある、ペンのアイコンを押します。
  4. 現在のバージョンを確認し、「変更後のバージョン」で修正済みのバージョンを選びます。
  5. 「設定する」を押します。
    PHP Ver.切替ドメイン単位でPHPのバージョンを切り替えることが可能です。対象ドメイン現在のバージョン編集clinic.example.jpPHP 8.x.xx3変更後のバージョン修正済みのバージョン⌄4キャンセル設定する5
  6. 「現在のバージョン」が、選んだバージョンに変わっていることを確認します。
    PHP Ver.切替ドメイン単位でPHPのバージョンを切り替えることが可能です。対象ドメイン現在のバージョン編集clinic.example.jpPHP 8.x.xx6
  7. ホームページとフォームが正しく動くかを確認します。問題が起きた場合は、管理会社やサーバー会社に相談します。未修正のバージョンには戻さず、必要に応じてサイトを一時停止して対応します。

参照:エックスサーバーマニュアル「PHP Ver.切替」

ほかのサーバー会社でも、管理画面の「PHPバージョン設定」などのメニューから、同じように切り替えられます。

コードで直接作成している場合

サーバーのPHPを修正済みのバージョンに更新し、ホームページやフォームが正しく動くかを確認します。

このステップのポイント

切り替えの前には必ずバックアップを取り、切り替え後はホームページとフォームが正しく動くかを確認することが大切です。

STEP 04被害がないかを確認する

STEP 03までで、PHPの脆弱性をついた攻撃を防ぐための方法をご紹介しました。しかし、更新前に侵入されていた場合、更新しただけでは不十分です。そこで、被害がないか、以下の確認をすることをおすすめします。

  1. 不正アクセス・改ざんの有無を確認する
  2. 情報漏えいの有無を確認する

1. 不正アクセス・改ざんの有無を確認する

以下の点について確認し、不正アクセスや改ざんなどを受けていないかを確認する必要があります。[5]

  • 覚えのない管理者アカウントがないか
    WordPressの管理画面で「ユーザー」→「ユーザー一覧」を開き、権限グループが「管理者」になっている人に、覚えのないアカウントがないかを確認します。
    ◆投稿▣メディア▤固定ページ▣コメント◆外観◆プラグイン●ユーザー⚒ツール▣設定アクティビティ最近公開今日 9:48 午後Hello world!Jetpack Statsユーザー一覧新規ユーザーを追加プロフィール
    ユーザー新規追加すべて (2) | 管理者 (2)ユーザー名メール権限グループclinic-ownerowner@example.jp管理者unknown-userunknown@example.jp管理者
  • 覚えのないプラグインがないか
    管理画面で「プラグイン」→「インストール済みプラグイン」を開き、入れた覚えのないものが増えていないかを確認します。
    ◆投稿▣メディア▤固定ページ▣コメント◆外観◆プラグイン●ユーザー⚒ツール▣設定インストール済みプラグインCloudSecure WP Security設定 | 無効化Contact Form 7設定 | 無効化Converter for Media設定 | 無効化Site Kit by Google設定 | 無効化
  • 不審な広告やファイル、見覚えのないページがないか
    パソコンやスマートフォンからホームページを開き、各ページに不審な広告やファイルなどがないかを確認します。また、Googleで「site:自院のドメイン」と検索し、作った覚えのないページが出ないかを確認します。
  • Googleから警告が来ていないか
    Google Search Consoleを使っている場合は、「セキュリティの問題」に通知がないかを確認します。

2. 情報漏えいの有無を確認する

情報漏えいは、ホームページを見るだけでは確認できません。サーバーのログ(アクセスの記録)を確認して、情報漏えいが起きていないかを確認する必要があります。[6]確認は、次の方法で取り組んでください。

  1. 管理会社に依頼する
  2. 自分たちでサーバー内を確認する

1. 管理会社に依頼する

管理会社に、次の2点を確認してもらいます。

  • アクセスの記録に異常がないか
    サーバーのアクセスログに、不審な通信やエラーの急増がないかを確認してもらいます。
  • 覚えのないファイルがないか
    サーバー内に、設置した覚えのないファイルが置かれていないかを確認してもらいます。
確認依頼メールの例2026年10月に公表されたPHPの重大な脆弱性について、当院のホームページに被害がないかを確認させてください。
・サーバーのアクセスログに、不審な通信やエラーの急増がないか
・サーバー内に、設置した覚えのないファイルがないか
〇月〇日までにご回答をお願いします。

2. 自分たちでサーバー内を確認する

サーバーの管理画面などから、アクセスログやサーバー内のファイルを確認する方法もあります。ログの見方がわからない場合は、ChatGPTやClaudeなどのAIに確認してもらう方法もあります。

※個人情報や認証情報などは除いてから入力してください。AIの回答だけでは、不正アクセスの有無を確定できません。
指示の例「このアクセスログを確認し、不審な通信やエラーの急増、見覚えのないファイルへのアクセスがないかを教えてください。」

不審なものが見つかった場合は、管理者パスワードを変更し、すぐに管理会社に相談しましょう。

情報漏えいが発生した、または疑われる場合は、内容に応じて個人情報保護委員会への報告や患者さんへの通知が必要になります。警察への相談も含め、管理会社などと速やかに対応を確認しましょう。[7]

このステップのポイント

不正アクセスや情報漏えいが発生した場合は、行政や警察への被害報告など、さまざまな対応が必要になります。手続きが多く発生するため、一人で悩まずに、専門の業者などに相談しながら対応を進めるのがおすすめです。

まとめ

今回のPHPの脆弱性は、ホームページや予約フォームを持つ多くの医院に関係します。すでに攻撃が始まりつつあり、対処が遅れるほど、不正アクセスや情報流出などの被害にあうリスクは高まります。そのため、早急にセキュリティ対策を進める必要があります。

また、ホームページやシステムの脆弱性は、今後もくり返し見つかります。そのためには、日頃からセキュリティ対策をしておくことが大切です。

「セキュリティ対策を強化したい」「どのように進めていいかわからない」という場合は、ぜひ一度mitokiにご相談ください。

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この記事を書いた人

梅澤 幸太

プロダクトマネージャーとして、医療業界のAI/DXの普及に取り組んでいます。

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